どんな行為が共謀罪になるのか知っておこう!

「テロ等準備罪」新設法 施行
_20170712_160534.JPG
「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法が、11日施行され、テロ組織などの組織的犯罪集団が、重大な犯罪を計画し、メンバーの誰かが関係場所の下見などを行った場合、計画した全員を処罰できるようになりました。
テロなどの組織犯罪を未然に防ごうと、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法は先月15日に成立し、11日施行されました。

改正法は、テロ組織や暴力団などの組織的犯罪集団が、ハイジャックや薬物の密輸入などの重大な犯罪を計画し、メンバーの誰かが、資金または物品の手配、関係場所の下見そのほかの準備行為を行った場合、計画した全員を処罰するとしています。

処罰の対象となる犯罪は組織的犯罪集団の関与が想定される277の犯罪で、このうち、死刑や10年を超える懲役か禁錮が科せられる犯罪をめぐって「テロ等準備罪」が成立した場合、5年以下の懲役か禁錮を科すなどとしています。

「テロ等準備罪」の新設によって、多くの犯罪の処罰が、これまでよりも前倒しして可能になる一方、捜査機関による恣意的(しいてき)な運用を懸念する声も根強くあり、政府は、法律の意義や運用の実態を丁寧に説明していくことにしています。
研究者や市民グループなどから懸念の声
研究者や市民グループなどからは、法律の施行に対して、「表現の自由が侵害される」などという懸念の声が上がっています。

「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法律に反対する研究者の団体は、捜査当局が犯罪の計画や準備行為が行われていないか調べることで社会への監視が強まるおそれがあるなどとして、9日、東京・新宿区の早稲田大学で集会を開きました。

集会にはおよそ650人が参加し、登壇した専門家からは「当局の監視によって市民の人権や表現の自由などが圧迫される」といった意見が相次いで出されました。

この集会に参加した若者のグループ「未来のための公共」のメンバーで、大学3年生の馬場ゆきのさん(20)は、自分たちの活動に影響が出ることへの不安を訴えました。馬場さんたちは、国会前や都内の各地で「テロ等準備罪」などに反対する集会を開いてきました。メンバーの間では、法律が施行されたら自分たちがツイッターなどで投稿する内容についても監視が強まるという懸念が広がっているといいます。

集会の中で、馬場さんは「政治に対して『おかしい』と思った時に、今まで以上に声を上げることが難しくなってしまう」と訴えました。馬場さんたちは、今後の活動の中で、法律を恣意的(しいてき)に運用しないよう求めていくということです。

馬場さんは「政府に反対していることで、集会を告知するツイートなどから個人が特定されて監視の対象になるのが怖いし、言いたいことが言えなくなるのではないかと不安に感じます。それでも、ここで萎縮したら思うつぼなので恣意的に運用されないように市民の側からチェックして、おかしいと思うことには声をあげていきたい」と話していました。
実際に適用される事例は
「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を新設する法律は、暴力団や振り込め詐欺グループが関係する事件などで適用されるものと見られます。

法律の対象犯罪は277に上り、政府はこれらを「テロの実行」、「薬物」、「その他資金源」など5つの類型に分けています。このうち「テロの実行」に関するものは、組織的な殺人や、放火、ハイジャックなどです。

また「薬物」に関するものは、覚醒剤や大麻の輸出入や譲渡など、「その他資金源」に関するものは、特殊詐欺などの組織的な詐欺や、犯罪で得た収益の隠匿などがあります。いずれもテロ組織や暴力団、振り込め詐欺集団などの関与が現実的に想定されるものだとしています。

捜査当局によりますと、実際に適用する事例としては、振り込め詐欺を計画している団体のメンバーから事前に情報が得られた場合や、暴力団が関係する事件の捜査で別の重大な犯罪の計画が判明した場合などが考えられるとしています。

法律の施行を前に、警察庁は適正さを確保するため、「テロ等準備罪」の捜査にあたっては警察庁と各地の警察本部の指揮のもとで行うよう求める通達を出しています。警察庁は、こうした対応を取ることで、関係者の供述や証拠の内容や捜査状況などをチェックしながら慎重に捜査を進めたいとしています。
専門家「捜査機関の自律が重要」
東京高等裁判所の元裁判長で、日本大学法科大学院の角田正紀教授は「捜査機関が行きすぎないようにみずから律することが重要だ」と指摘しています。

「テロ等準備罪」は、捜査機関が「組織的犯罪集団」だと見なしたグループが、重大な犯罪を計画して準備行為を行った場合などに処罰するものです。

角田教授は「『組織的犯罪集団』は捉え方によって大きく幅が出るうえに、何が『準備行為』にあたるのかがはっきりしない。最初は捜査機関が判断するため、まっとうな団体が捜査されることへの懸念は残る」と話しています。

また、社会への監視が強まるという懸念については「計画段階で捜査しようとすると、今までとは異なって広い情報収集が行われるため、市民の側からいえば、大きな負担を負わせられる可能性が高まる」という見方を示しています。

そのうえで「処罰対象となる277の罪ごとに、何が準備行為として処罰に値するのかを徹底的に詰めなければならない。行きすぎた捜査があると信用の失墜という大きな代償を払うことになるので、運用の基準を考え、捜査機関がみずから律することが重要だ」と指摘しています。

さらに捜査機関から請求される令状などをチェックする立場の裁判所に対しては、「捜査機関が示してくる資料の内容をもとに、犯罪として認定できるかどうかや、資料が十分なのかどうかを、非常に厳格に審査しなければならない。裁判官の責任は重い」と述べています。

この記事へのコメント